女子の半数以上の名前が呼ばれ、ICレコーダー片手に澄ました表情の蒼先生を見る。



もう少しで、賭けに決着がつく。


私の前の子の名前が呼ばれると、ICレコーダーは沈黙した。



蒼先生は、怪訝な表情をする。



あまり、時間無いですよ?


私は座ったまま、待つだけ…。




沈黙から13秒後、ICレコーダーは無情にも時間切れを告げた。


「以上30名」


という、坂下先生の声で…。



蒼先生は、慌ててスイッチを切った。



クラスのみんなと蒼先生が、私の方を見た。



私が蒼先生に微笑みかけると、蒼先生には坂下先生の考えが分かったらしい。




一言、呟いた。


「やられた…。」


今の声、マイク拾ってます。




蒼先生は、髪をかきあげると


「余合梨香」


と、私の名前を口にする。



私は、その声に返事をした。