「昨日はごめんね。」


翌朝、アンジェが昨日の当番を抜けたことを私に謝った。



アンジェのお父様は、昼過ぎにはイギリスに戻っていったようだ。


私は結局、会えずじまいだった。


お化け屋敷で一瞬だけ見たっていうのは、会ったうちには入らないだろう。





「リコ、いつもはツインテイルなのに、珍しく朝から髪を下ろしてるわね。」


「ん…実はね…。」


周りに人が居ないのを確認して、首の周りの髪をかきあげた。



「あンの…エロ教師っ!」


蒼先生ったら、最後にはキスマークまで付けちゃうんだもん。





「昨日、パパとここに来たとき

『リコに何すんの!』

って怒鳴ってやろうと思ったんだけどね…。」


「坂下先生が現れて、それどころじゃなくなった?」


「うん、びっくりした。

先生があの場に居るのは、反則だよ…。」


「ちょっと、いい思いしたでしょ?」


「えっ…?」


「お父様が

『娘に何をする!』

って血相かえていらしたものね。」


「うん、まぁ…そうだね。」



アンジェは、照れくさそうだった。