「蒼先生、意外と足速いね。

もっと、本気になって走れば良かったよ…。」


最後に僕に抜かされた体育科の教員が、息を切らしながら負け惜しみを言った。



いや、アンタ本気だったでしょ?


ウチのチームの応援席見て、気が緩んだってとこじゃないの?


チアリーダーの衣装着た女子総勢で、脚線美披露してたからなぁ。





体育科教員が、ウチのチームの応援席に視線を移す。


「好みの脚、見つかりました?」


「普段拝めない余合さんの脚は良い…って、何を言わせる!?」



へぇー、梨香のねぇ…。


ヒトの彼女の脚を、舐め回すように見てんじゃねぇよ!



こんなとこで、そう言うわけにもいかず…


「チームメイトに対する言い訳、考えた方が良いですよ。

女子生徒の脚に見惚れてたなんてバレたら、エロ教師の烙印押されちゃいますし?」


僕の言葉で、その教員はムッとしたようだった。




リレーメンバーが集まっているところへ向かうと、アンジェに声をかけられた。


「やるじゃん、蒼。

あの体育教師って相当ヤな奴だから、今の会話をクラスのみんなにも聞かせてやりたいわね。

みんな、アンタを賞賛するよ。」


「お前な…、リレーの誉め言葉は無いのか?」


「蒼なら、トップでゴールして当然。」


「厳しいな…。」


「まぁまぁ、応援席にはリコが満面の笑みで待ってるわよ。

私の賞賛より、リコの賞賛の方が嬉しいでしょ?」


応援席を見ると、僕が視線を向けたことに気づいたのか、梨香がポンポンを振っていた。


2人きりになったら、ご褒美でもねだってみようか。