だけど、ちゃんと入ったみたい。



「梨香、動いても良い?」


痛いから嫌です…なんて言えるわけもなく、指を噛んだまま頷いた。



しばらく引きつられるような痛みに耐えていると、蒼先生が崩れるように私の上に乗っかってきた。



蒼先生は一息つくと、腕枕をしてくれた。




「梨香、こんなに血が出るほど噛むなんて…よほど痛かったんだね。」



私の中指を見た蒼先生はそう言うと、頭を撫で続けてくれた。



いつの間にか、夢の中へと引きずり込まれたらしい。








次に目覚めた時は、9時半過ぎていた。



蒼先生は、ベッドにいない。


水音がするから、お風呂かな?



少しして、腰にタオルを巻いた蒼先生が、髪を拭きながら出てきた。



蒼先生に話しかけられたというのに、ぼーっとしていて聞いていなかった。


「今、見惚れてた?」


図星を指された。