3年生の送別会が、講堂で行われた。


有志や部活の1・2年生がステージで出し物をして、3年生に楽しんでもらおうというもの。


今年は先生方が、お芝居とバンドを組んでの演奏を披露してくれるらしい。



蒼先生はお芝居に出ていなかったから、バンドの方に出るようだ。


以前、アンジェが蒼先生の部屋でヴァイオリンを見つけたことがあった。


その時は他の楽器を見なかったけれど、他にも弾ける楽器があるのかな?





幕が開き、6人の先生方が演奏を始めた。


蒼先生は、初デートの時に着ていたエンジのライダースジャケットを羽織って、ギターを手にしていた。



若手ばかりだと思っていた中に、ベテランの坂下先生がギターを弾いていた。


いつもは額にかからないようにしている前髪をおろし、メガネを外している。


私は1年生の初めにその姿を拝見したことがあるけれど、他の人は初めてだったようだ。


「誰?」


なんて声が飛び交っていた。




坂下先生だと分かると、みんな口を揃えて言った。


「意外…。」


普段の見た目では、坂下先生がギターを…しかもロックを弾くとは想像できないものね。




何曲か弾いているうちに、ステージを下りて3年生がいる席で演奏していた坂下先生が、ステージにいる蒼先生を呼んだ。


すると蒼先生がステージを下り、3年生に囲まれて演奏しだした。




黄色い声援が、一層大きくなった。



私も、間近で見たかった…と思った。