部活の後、蒼先生のところに行く。



チョコレートを渡すために集まった、同学年の理系女子や一年生の女子に囲まれているのを発見した。



数メートル先にいる蒼先生は、みんなのチョコを淡々と受け取っている。



私のもとに、メールが届いた。


蒼先生には、私がすぐ近くまで来ていることが分かったみたい。



私は、周りの女子たちに存在を気づかれないうちに、その場を立ち去った。








夜9:30、こっそり家を抜け出し、いつもデートの待ち合わせに使っている公園へ向かう。


既に、シルバーのミニバンが停まっていた。



後部座席に乗り込むと、周りから見えにくい場所へと車を動かした。




運転席から蒼先生が、私の隣へと移動する。


「遅い時間に呼び出してゴメンな、何でかは分かると思うけど…。」


そう言って、両手を差し出した。



チョコの催促…だよね?



「今年は、あげません。」


私は、そっぽを向いた。