2月の3連休、アンジェと2人で家のキッチンを占領する。



誰が発案したのか、クラスの男子全員に手作りチョコをあげようっていう企画で、誰が作ったものかを当てさせ正解した分だけあげることになった。


ただあげるだけじゃ面白くないっていうのが、理由らしい。




「リコのクラスって、昨年もこんなことしたの?」


アンジェの言葉に、首を横に振る。



1年の時は、みんな仲良しってわけじゃなかったし。


「…だろうね、今年のクラスは良い奴と面白い奴が揃ったよ。」





クラスの男子にあげる1口サイズチョコを、アンジェと2人で作る。



他にも、剣道部員にあげる義理チョコや蒼先生への本命チョコを作った。



アンジェは、他のチョコを作る素振りがないので聞いてみた。



「あのヒトへのチョコは?」


「あげても、迷惑なだけだよ…。」




彼女は少し、悲しそうに微笑んだ。