新学期学校に着くなり、アンジェがイギリス土産をくれた。


「私、苗字変わったから。」



アンジェリーナ・フロックハート



これから先、アンジェが名乗る名前なのだという。




「外見だけでなく、名前も外国人みたいになっちゃったね。」


「元々、両親はイギリス人だよ。」


そうだったんだ…確かにハーフっていうには、日本人離れしてたものね。




ちょっと、気になったことを聞いてみた。


「イギリスに行ったり…しないよね?」


「しないわよ。」


「でも、お父様はイギリスにいらっしゃるのでしょう?」


「正直、来いとは言われた。」


「寂しく…ない?」


「パパと一緒に暮らした記憶が殆ど無いから、それは感じない。

親権を父親の方に移したのも、義父の苗字を名乗りたくないっていう打算があったからだしね。」


「打算…?」


「それを、リコに理解してもらおうとは思って無いわよ。」


アンジェは私の頭をなでた。




「私が日本に残ったのは、まだ未練があるから…なんだよね。

さっさとイギリス行っちゃえば、諦めもつくのに…。

ホント、バカだよね。」



アンジェは制服の…胸の辺りを、鷲掴みにした。