「リコ、何か…勘違いしてない?

蒼なんか、ありえないんだけど?」



さっき目を見開いたのは、蒼先生の名前が出るとは思わなかったから?



それに、蒼先生以外に応援されて困るような人っているの?


「先生じゃなきゃ…誰?」





アンジェは意を決したように、1度深呼吸する。


「言っても良いけど、笑うなよ。」


アンジェは私の耳元で、好きな人の名前を呟いた。



彼女の声のトーンで、決して軽い気持ちなんかじゃなく、真剣なんだっていうのが分かった。



ちょっと…どころじゃない、かなり驚いた。



アンジェは、その気持ちを一切表に出すことなく、ただ秘めておきたかったかもしれない。


いつか、その気持ちが思い出に変わるまで…ずっと。




恋をするにはあまりにも辛すぎる相手の名を、彼女に言わせてしまったのは私…。



後悔、した。