放課後、蒼先生がいると思われる数学科教材室へ向かう。


「失礼します。」



あ、良かった。


蒼先生、1人だ。




「余合、部活は?」


あれ?…と思いつつ、答える。



「自主的にお休みをいただきました。」


「サボリかよ…。」


蒼先生は、苦虫を噛み潰したような顔して言う。




「先生こそ、全く顔出してないようですが?」


「確かに…。」


「アンジェから聞いたのですが、私に話したいことがあるそうですね。」


「あぁ…あれね。

しばらくの間、距離置こう。」




距離置こうって…?



今、2人きりなのに私のこと名前で呼ばないのは…?




「先生、私のこと嫌になったのなら、はっきり別れたいって言ってよ…。」


「僕は、別れたいわけじゃない。」


「じゃあ、どうして距離置こうなんて…。」


「余合と僕の、したいと思ってるお付き合いにズレがあるから。

余合は心が繋がっていればそれで良いかもしれないけど、僕はそれだけじゃダメなんだ。

身体も…繋がっていたい。」