「お嬢様、お嬢様どうされたんですか?」

遥の号泣を聞きつけた執事やメイドたちがやってきて、ドアをノックするが、

「いいからほっといて!!」

ふだんだったら決して言わないようなことを言い放ち、ドアをあけることはなかった。

何があったのかと心配しながらも何も出来ずに悶々とするメイドたちの元に焦っている様子が丸わかりの表情をして水島蓮がやってくる。

「遥さんは帰宅されましたか!?」
執事がしゃべるより先にそう言った蓮に執事は

「お嬢様は既におもどりですが、具合が悪いと休まれました。
本日は誰とも会わないと…」

そう告げる。

「私はご両親に遥さんを屋敷まで送ると伝えながら遥さんとはぐれてしまいました。

遥さんの無事を確認しないとご両親に顔向けが出来ないのです。

とりついでもらえないだろうか?」

そういう蓮に執事は、

「一応お嬢様にもお伝えいたしますが…お会いになるかどうかは分かりません。

こちらの部屋でお待ちください。」

そういって案内すると、遥のもとに向かう。

「お嬢様、水島様がお越しです。お嬢様のご無事を確認したいと仰られてますが。」

そう告げる執事に

「今日は誰とも会いたくないの。申し訳ないけれど、謝っておいて。」

と会うつもりがない一言。

はぁ…とため息をついて執事は蓮の待つ部屋に向かうのだった。