「お聞きしてもいいですか?

遥さんのお好きな方って同級生の方ですか?」

そう聞いてくる幸翔に遥は

「違います。従兄弟の友人で、幸翔さんよりは年下の方なんです。

私のこと、ずっと可愛がってくれる人なんです。

彼には私の気持ち伝えてないですが、敏い方なので気付かれてるのかもしれません。

お互いそのことについては何も話さないので分からないですが…

でも、そばにいるだけで幸せだと感じるんです。

だから、今の関係を壊さないためにも気持ちは伝えないと思います。

幸翔さんにも伝えましたが、私と婚約するということは西園寺のゴタゴタに巻き込むことになりますから…」

そう言いながらうつむく遥に

「その方が羨ましいですよ。遥さんから愛されて。

その人には及ばないかもしれませんが、私も遥さんを守りたいと思いますよ。

私の場合はまずは仲良くなることからですけどね。」

と言いながら笑う幸翔に遥は

「本当にお優しいですね。お会いできて嬉しいです。」

と言うと、

「さて、ここに長居しすぎて遥さんに風邪をひかせたら大変だ。

そろそろ戻りましょうか。」

と立ち上がって手を差し出すのでその手に添えて遥も立ち上がると、メインホールに向けて歩きだした。