幸翔のいう庭は遥の誕生日パーティーの行われてるメインホールからそのまま出られるようになっている。

外に出ると綺麗な満月が幻想的に庭を照らし、引き込まれそうになる。

「こちらにどうぞ。」

そういわれ、遥が幸翔を見ると、目の前にあるベンチに手を向けていて。

「ありがとうございます。」

そういって腰かけた遥の隣に幸翔は座るのだった。

「遥さん、あなたさえよろしければ私はこの話進めたいと思っているのですがいかがですか?」

そう聞いてくる幸翔に遥は

「私たちが出逢ったのは今日が初めてなのにどうして…?」

そう聞くのは当然で。

先ほどから話してる相手、幸翔は西園寺の名前目当てには思えない。

誰とは言わないが権力を欲するが故に遥を手に入れようとする輩はいるのだ。

西園寺が目的じゃなければ何が…?

そう思うのは仕方ないことで。

「間違っても西園寺の家を手に入れたい、という理由じゃないですよ。

私の家もそこそこ名の通る名家ですし。

私はあなたと結婚したいと思ったからです。

これからあなたと知り合って、愛し合って結婚したい。

そう思ったからですよ。」

そういって微笑む幸翔に遥は驚く。

「どうしてそう思われるんですか?初対面なのに。」

そういうと幸翔は

「あなたは初対面と思ったでしょうが、実は初対面じゃないんですよ。

もっとあなたを知りたいと思いました。

それが理由ではおかしいですか?」

そういわれ、遥は

「えっ!?いつお会いしたんでしょう?

私には覚えがなくて…申し訳ありません。

でも、ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。」

その言葉に幸翔は笑みを浮かべる。

「まぁ、そうは言っても遥さんからすればよく知りもしない人と結婚とか考えられないでしょう?

前向きに考えていただければと思います。

まずはお友達、からですかね?」

なんていうからおかしくて

ふふふと笑いだす遥に幸翔も一緒に笑うのだった。