「遥さんと呼ばせて頂いてもよろしいですか?

遥さんは例の話、聞いておられるのですか?」

そう幸翔が聞いてきたので遥は

「はい。名前はお好きに呼ばれていいですよ。

話も知っております。」

そう答える遥に幸翔は

「遥さんは相手がこんなおじさんでいいのですか?」

と聞いてくる。

「おじさんだなんてとんでもない。

幸翔さんは素敵な方です。こちらこそ申し訳ありません。

私と婚約とか、御迷惑でなければいのですが…」

そう申し訳なさそうにいう遥に

「とんでもない!!私としては嬉しいですよ。

こんな素敵な方と婚約出来るなら。」

と嬉しそうに告げる。

「でも、関係ない幸翔さんが西園寺家のゴタゴタに巻き込まれてしまいますし。

こんなに素敵な方だったらお付き合いされてる方とかいらっしゃるのではないのですか?」

そういう遥に幸翔も

「遥さんにとっては私はおじさんでしょう?

10歳くらい歳が離れてますし。お付き合いしてる人は残念ながらいないんですよ。

仕事が忙しくて敢えて言うなら仕事が彼女みたいなものです。」

なんて言うので遥は

「ふふふ。幸翔さんって面白い方ですね。」

と言った。

どことなく雰囲気が遥の好きな蓮に似てることもあって幸翔に対して好印象を抱く遥。

「ここで話すのもなんですね。このホテルには素敵な庭があるのをご存知ですか?

そちらで話をしませんか?」

と聞いてくる幸翔に遥も

「そうですね。そうしましょう?」

と答え、幸翔が差し出した手に遥も差しのべて連れだってホールから出ていく。

その姿を近くにいた婦人や令嬢たちは羨ましそうに見ているのだった。