遥の意識はパーティーに戻る。

目の前には様々に着飾った婦人たちが、連れの男性と談笑していた。

大人が飲んでるのは極上のシャンパン。

ただし、遥のような未成年の令息、令嬢たちには炭酸水が配られている。

「おお、これは上条さん!!」

父の言葉にはっとして前を注視した遥の前には父と同年代くらいの夫婦とその息子が立っていた。

「お久しぶりですな。西園寺さん。

こちらが御令嬢の遥嬢ですかな?ご挨拶が遅れましたが上条冬樹です。

御父君には大変お世話になっております。

お誕生日おめでとうございます。」

そう言われ、遥も

「父が大変お世話になってります。娘の遥です。」

そう答える。

「あぁ、そちらがもしかして…?」

そう聞く父に上条は

「そうです。息子の幸翔です。」

という上条冬樹の隣には遥よりは年上の男性が立っていた。

「お初にお目にかかります。上条幸翔と申します。

遥さん、お誕生日おめでとうございます。」

と言ったその男性はどことなく遥の好きな蓮に雰囲気が似ていて。

「ありがとうございます。ご挨拶が遅くなりましたが、西園寺遥と申します。

今日は楽しんでいただければ嬉しいです。」

と答える。

「遥、幸翔君をご案内して差し上げなさい。

私は今から少し上条さんと話があるから…」

そういった父に遥はこの目の前の人が婚約者候補の一人だと知る。

「遥さんがご迷惑じゃなければ是非…」

そういって微笑む幸翔に遥は顔を赤くしてしまって…

「若いっていいですな。幸翔、遥さんに迷惑はかけるなよ。」

そう上条が言って二人のそばからそれぞれの両親たちは離れて行った。