君と恋色*tear rain




『あれ?』

「どうしたん?」



昼休み。いつものメンバーで二つの机を囲み、お弁当を食べようとしていた。



しかし、お弁当の包みを開き中身を取り出していると、何かがひとつ足りないことに気が付いた。




『……お箸忘れた』

「ええー、どうするん?」




もう一度包みや鞄の中を探してみたが、やはり見当たらない。今日、お箸を入れた記憶は無かった。



どうしよう、と焦っていると。



ゆっこが思い出したように「あ」と声を出した。




「食堂に行けば割り箸貰えると思うで!」

『食堂?……わかった、行ってくる』




面倒だけれど、仕方がない。わたしは椅子から立ち上がる。

と。




「行き方わかる?あたしもついて行こっか?」



有紗が言った。



しかし、昨日ゴミ捨て場についていったときに食堂の場所は確認していたため、大体場所はわかる。




『大丈夫、一人で行けるよ』

「そう?……じゃあ、奈々が帰ってくるまで待っとくわ」

『あ、ごめんね。じゃあ急いでいってくる!』




待たせるのは悪いと思い、駆け足で食堂へ向かう。あまり、遠くないはずだ。