同じクラスだったのか…。
と考えていると、一人の男子がその筆箱が置かれた席に現れ、椅子にドカリと座った。
筆箱の持ち主のだろう。確かに見覚えのある気がした。
男子は、椅子の背もたれに背中を預けて手をポケットに突っ込み、長い足は机からはみ出ていた。
そしてその状態のまま、静かに先生が来るのを待っている。
改めて見ると、かなり格好良い。
『あの人、なんていう名前?』
男子に視線を向けたまま有紗に尋ねると、有紗もわたしの視線の先に目を向けた。
「廊下側の席の?あれは、桐生くん……桐生仁(キリユウ ジン)くん、やで」
『桐生仁くん…』
聞き覚えのあるような、ないような。
そういえば昨日、数学の授業で当てられていたかもしれない。

