君と恋色*tear rain



『あー疲れた…』



今日は何だか疲れたな。メールの返信内容を考えるので神経がすり減った。



うーん、と伸びをしながら、明日の授業の予習をしようと教科書とノートを机の上に広げる。




……それにしても。



まさか、春人がわたしの事を憶えていないなんて。



授業の範囲を確認しながら、昔の春人との記憶を思い出した。




幼稚園の頃は。


ほぼ毎日のように家や、近所の公園で一緒に遊んでいた。


休みの日に、家族ぐるみでテーマパークにも行った。



小学校の頃は。


人見知りで学校へ行くのを嫌がっていたわたしの手を、毎日引っ張って連れていってくれた。


雨の日は、わたしが家でおままごとをやりたいと言うと春人は嫌がっていたけれど、結局いつも付き合ってくれていた。



たまに、まだ小さかった春人の弟も一緒に、三人で遊んだりもした。




泣き虫で弱虫だったわたしは、長男で面倒見の良かった春人に、いつも元気や勇気をもらっていた。




春人は、そんな思い出もわたしのことも、全部忘れちゃったのかな。




じわり。春人のことを考えていると、また目の奥が熱くなってきた。