反動で地面に尻餅をつく。
「ってぇ…」
『す、すみません…っ』
痛みを堪(コラ)えてゆっくり顔を上げると、ぶつかった相手の男子も同じような格好だった。
動揺と、涙で視界が滲んでいた為に、顔はよくわからない。
しかしわたしははっとし、慌てて相手の落とした筆箱とノートを拾った。
「ったく、廊下走んな、………え、お前、何で泣い……」
低く苛ついたような口調から、驚きと戸惑いの混じったようなものに変わる。
泣いていることを気づかれ、びくりとした。
『すみませんっ』
「え?おいっ…」
わたしは拾い上げた筆箱とノートを相手の前に押しつけて、駆け足でその場を去った。

