君と恋色*tear rain



「大丈夫、奈々?」

『………』




自分が今どんな顔をしているのかは分からないが、おそらくぐしゃっと歪んだ、泣きそうな顔をしているのだろう。



現に、今にも目の奥から熱い粒が溢れ出てきそうだ。もう限界だった。



『………っ』



わたしは咄嗟に、二人から顔を背けて教室のドアに向かって走り出した。



その瞬間、我慢できずにとうとう、ポロリと目から涙が零れ落ちた。




「花井さん?」

「奈々…っ!」




わたしは二人の声を無視して、教室から飛び出した。



今声を発するときっと涙声になって、泣いていることがバレてしまうだろう。


そう思ったから。




『(何で涙が出るのっ…)』



ショックや羞恥心がぐちゃぐちゃに入り雑じった頭は、混乱状態だった。





教室を出て数メートル先の角を曲がろうとした瞬間。




『きゃ!?』



下を見て走っていたため前から現れた人に気づかず、思いきりぶつかってしまった。