「あれ？なんか俺、恐がられてる？」
黙ったまま強ばった表情で動かない私を見て、春人が首を傾げて苦笑した。
「奈々、人見知りやなぁ。ちょっと春人、奈々が怯えてるやんか」
「俺何もしてへんし。…花井さん小動物みたいやな」
「ほんま、ちっちゃくて可愛いわぁ」
「うん。有紗とは大違い」
春人が有紗を見て意地悪に笑う。
「！何なんよそれっ！……どーせあたしは可愛くないですよー。バーカ」
拗ねたようにフンと、春人から顔を背ける有紗。
それを見た春人はぶはっと吹き出し、口を大きく開けて声を出しながら笑った。
「嘘やって。拗ねんなよ」
ポンポン、と、有紗の頭を優しく撫でる。
「うるさい、バーカ」
そう口にしながらも、有紗の頬がほんのりピンク色に染まっていくのが見えた。
わたしの事なんて忘れて、仲良くじゃれあう二人。
その姿はどう見ても、幸せそうな“彼氏”と“彼女”だった。
そんな二人のことをぼうっと見つめていると。
ズキリ、と胸の奥が痛んだ。
