「ちょっと付いてきてくれへん?」
午後の放課後、荷物をまとめ帰る支度をしていると。
日直の有紗に、ゴミ捨てに付いてきてほしいと言われた。
『あー、うん、いいよ』
帰り際に春人に話しかけようと思っていたのだが。
断ることもできないので、気後れしながらも返事をする。
本当は今すぐに春人のところへ行って、たくさん話をしたいのだが。……まぁ明日も会えるし、別に良いか。
「まだそんなゴミ溜まってへんのに、あの先生マメやねんなー」
『そうなんだ』
春人はまだ、私に気付いていないみたいだ。
自分自身、あの頃と変わっているのかどうかわからないが、親戚や知り合いのおじさんたちには「昔とあまり変わらないな」と言われる。
確かに背も昔から低いし、性格も変わらずけっこう幼稚だ。
「あ、着いた着いた。ここが、ゴミ捨て場」
ゴミ捨て場は食堂のそばにあった。教室からそれほど遠くない場所。
わたしは有紗と校内を歩きながら、食堂やゴミ捨て場、職員室の場所を頭に叩き込む。
ひとりで歩き回れるようにならないとね。

