……春人はいなかった。
『(ああ、せっかくのチャンスが…!)』
わたしがノートを写している間にどこかへ行ってしまったらしい。
『……はぁ』
急激に気分が下がり、脱力する。
『(しょうがない、次の休み時間にするか…。)』
そう思いながら、のろのろとノート類を机の中にしまっていると。
弁当を持ったゆっこたちがわたしの席にやって来た。
「もう有紗いったん?じゃあ有紗の椅子座ろっかな」
えみりんがわたしと有紗の机をくっつけていると、ゆっこがどかりと有紗の椅子に座り、お弁当の包みを開く。
「食べよ食べよ」
『うん』
二人に続きわたしもカバンからお弁当を取りだし、包みを開いた。

