『ねぇ、担任の先生ってどこにいるかな?』
「英語準備室におるんちゃう?」
有紗にありがとうと言い、家で記入してきたプリント類を手に持ち言われた所へ向かう。
廊下を歩いている途中、ちらりと横目で腕時計を見ると休み時間残り5分だったため、急いだ。
担任の先生に渡すと、早足で教室に戻る。残り1分、ギリギリで間に合った。
「おっかえりー!」
『ただいまー』
ふう、と息を吐き席に着く。隣の席の有紗は、ニコニコしながら携帯を見ている。
いつも明るくて元気だが、今日はいつにも増して明るい。機嫌が良いようだ。
『どしたの?何か良いことあった?』
私が問うと、有紗は携帯から視線を外しこちらに顔を向け、鼻歌混じりの声で答える。
「へへ~、内緒!」
『えー』
何だろう、誰かとのメールの内容が面白いのだろうか。
よく分からないが、こっちまで機嫌が良くなってくる。

