君と恋色*tear rain



もう用事は済んだのだろうか。



しかし目の前の恐い人は、何故か無言でじっとこちらを見据えている。……というよりは、睨まれている感じなのだが。




『………』

「………」




少しの間、二人の間に気まずい空気が流れる。



どうしよう。どうしよう。



男子に免疫がなく、話をするだけでさえどもってしまうのに。


こういう状況は、凄く耐え難い。



どうすれば良いか分からず内心戸惑いながら、息を詰めて固まっていると。



フイと、何の前触れもなく私の方に向けていた視線を外し、くるりと私に背を向け教室の方向に歩き出した。



一体、何だったのだろう。




『(……変な人……。)』