「なぁ」
(クラスの足引っ張っちゃったらどうしよう…。)
体育祭と球技大会は、私の嫌いなイベントだ。
(出来るだけ早くボール当てられて、外野で大人しくしておこう…。)
「なぁ」
「!」
突然真後ろから掛けられた声に驚き振り返ると。
そこには、不機嫌そうな男が立っていた。
背が凄く高い。身長差の為か、私を見下ろす細目は私を睨んでいるように見える。
……恐い。
「………」
『!』
無言で差し出されたのは、数枚のプリント類。
戸惑いながらもそれを受けとると。
「先生が渡しといてって」
『えっ……あ、はい……』
おそらくクラスメートだろう。しかし、誰だかは分からない。
転校してきたばかりな為、クラスの半分以上の人の顔をまだ覚えていないのだ。
チラリとプリントを見ると、健康調査の紙や連絡先を書く紙など。
……これは、書いて担任の先生に出せば良いのかな?
『……あの、……』
「何?」
私の前に立つ恐い人は、早く帰りたそうな表情で私を見ている。
……恐い。
『あ、えと、……何でもないです』
「………」

