君と恋色*tear rain




「ちょっと、職員室行ってくるわ」

『あ、うん』

「遅くなるから先お弁当食べといて」




4時間目の終了を告げるチャイムが鳴ると同時にそう言い残し、早々と教室を出た有紗。



チラリと教室内を見回すと、部活の昼練に行く用意をしているゆっことえみりんが視界に入った。



うーん、どうしよう。



ゆっことえみりんは運動部、有紗は帰宅部で、運動部の二人は昼練に行く日と行かない日があるらしい。



そして今日は二人とも昼練。


私はまだ三人以外とろくに話をしたことがない故に、有紗しかご飯を一緒に食べる人が居ないのだ。




先に食べていていい、と言っていたが、

ひとりで食べることは私にとってすごく勇気のいることなのである。



どうしようか迷った末、お腹は空いていたが有紗を待つことにした。




『(暇……。)』




まだ慣れない教室に一人。


少し話せる子も居るけれどお弁当タイムはグループで盛り上っている為、話し掛けづらい。



有紗はまだ帰ってくる気配がない。




居心地の悪さに、とりあえず教室を出ようと思い立った。