家へ帰ると、玄関のドアを開ける音に気付いたお母さんがリビングから顔を出した。
「おかえり~」
『ただいま』
今住んでいる家はお父さんの会社から貸して貰っているマンションなので、少し狭く玄関からリビングの距離も短い。
しかし3人暮らしには充分な広さだ。
「初登校、どうだった?」
『楽しかったよ。もう友達も出来た』
「あら、良かったじゃない~」
そう学校の事を報告すると、お母さんは嬉しそうにする。
優しくて、大好きなお母さんだ。
自分の部屋に入ると、スクールバックをポイっと床に投げ捨て、ベッドにダイブした。
『!』
と言っても此処へ越してくる時に買ったこのベッドは木の板に敷き布団を敷いたものだ。
ベッドはギシリと変な音を立て、私は手足を打ち付けた。
ついクセでダイブしてしまった。
フカフカのベッドが恋しいが、早く慣れないと……。
そんな事を考えてながら着替えようとしていると
制服のベストに入れていた筈のキーホルダーが無くなっていることに気が付いた。

