シンアイ

それより、いつまで手を捕まれてれば良いのだろう。もう振り払っても良いかな?

「そう、幼馴染み……」

そう言って御園蘇芳の手が離れた。

よし!今のうちに職員室へ……

「ねぇ、ウサギちゃん」

その声があまりにも切なくて、数歩進んだ足を止めて振り返ってしまった。

「俺を助けて……。お願いだから」

下を向いて胸を押さえている御園蘇芳。その姿は演技には見えなくて、その言葉は本音なんだと思う。
何が彼をそこまで追い詰めているのだろう。
単純に知りたいと思った。御園蘇芳が抱えているもの。私に頼る理由。それが知りたかった。

「……何を、すれば良いんですか?」

その言葉を聞いた御園蘇芳がバッと顔を上げた。

「言ったね?」

……え?
何かおかしくないですか?
どうして御園蘇芳はキラキラした顔で見てるんですか……?
まさか、さっきまでのは、ウソ……?

「だ、騙したんですか……?」

御園蘇芳は何も言わずにただ微笑んだ。
肯定、ということだろうか。

「約束通り助けてもらうよ、ウサギちゃん♪」



斯くして私は御園蘇芳に捕まったのでした。