さくら 【短編】

「だから、私は生きるよ優希」

花束に落ちた桜の花びらを拾い上げ、


「あなた以外を愛することはできないけれど」


それでも、あなたがいつも傍にいると分かっているから。

だから、生きるんだ。



「優希、ありがとう」


風が吹いた。

『ありがとう、桜子』


私の名前は、藤堂桜子

彼の名前は、山崎優希


そんな声を聞いた気がした。