さくら 【短編】

「ああ、そうだよね」

だから、私は生きなきゃいけない。

私の心のそばには、必ず優希がいるから。


死ぬ瞬間、優希の傍にいたのは私だった。


『願いが叶ったよ』


綺麗に微笑んで、優希は息を引取った。

涙で濡れている私の頬に手を添えて、

『死ぬ瞬間には、桜を見ていたいって願いが、叶ったよ』

桜は、私だったんだ。