「自分から聞いたくせに、何戸惑ってんの?」 ほらな、やっぱり。 そんな顔すると思ったんだよな。 「別に戸惑ってない、けど」 「ふぅん」 精一杯強がって言おうとする仁奈をからかう気にもなれなくて再び歩き出した。 「ね、ねぇっ」 それなのに、仁奈はまだ俺を引き止める。 「何」 「あのさ……。 “あたしじゃなきゃ意味がない”ってどういう意味なの?」 「……」 「ほ、ほら。あんたのお母さんも言ってたじゃん?」 「お前じゃなきゃ駄目らしいから」