「自分から聞いたくせに、何戸惑ってんの?」
ニヤッと口角を上げる笑い方に、
ゾクッとしてしまう。
「別に戸惑ってない、けど」
語尾が弱くなったあたしは、
思いっきり戸惑ってる。
「ふぅん」
そう意味ありげな声を残し、
椎名冬夜は歩き出した。
何故かその後ろを追いかけるあたしって、
一体何なんだろう。
「ね、ねぇっ」
「何」
「あのさ……。
“あたしじゃなきゃ意味がない”ってどういう意味なの?」
「……」
「ほ、ほら。あんたのお母さんも言ってたじゃん?」
どうして、あたしが椎名冬夜の顔色を見て話さなきゃいけないんだろう。
そんな事を思いながらも、
あたしは適当な答えが返って来る事を願ってたのかもしれない。
「あんたじゃねーよ、冬夜」
「はっ!?」
突拍子もない言葉に、
間の抜けた声を出してしまった。
何が?
冬夜!?

