【完】愛の血−超勝手な吸血鬼




「自分から聞いたくせに、何戸惑ってんの?」



ニヤッと口角を上げる笑い方に、
ゾクッとしてしまう。



「別に戸惑ってない、けど」



語尾が弱くなったあたしは、
思いっきり戸惑ってる。



「ふぅん」



そう意味ありげな声を残し、
椎名冬夜は歩き出した。


何故かその後ろを追いかけるあたしって、
一体何なんだろう。



「ね、ねぇっ」

「何」

「あのさ……。
“あたしじゃなきゃ意味がない”ってどういう意味なの?」

「……」

「ほ、ほら。あんたのお母さんも言ってたじゃん?」



どうして、あたしが椎名冬夜の顔色を見て話さなきゃいけないんだろう。


そんな事を思いながらも、
あたしは適当な答えが返って来る事を願ってたのかもしれない。



「あんたじゃねーよ、冬夜」

「はっ!?」



突拍子もない言葉に、
間の抜けた声を出してしまった。



何が?
冬夜!?