【完】愛の血−超勝手な吸血鬼



隣を歩く椎名冬夜は早くしろとか言いながら、あたしに歩幅を合わせてくれて。

その小さな優しさが温かい。


だけど、それは同時にくすぐったくもあって何だか落ち着かない。



何か会話になることがないかって考えて、



「ね、ねぇ」



何も言う言葉を見つけてないまま、先に出てしまった声。



「んぁ?」



あ、えっと……。

色々考えても何も浮かばなくて。



「な、何してたの?
どっか行った帰り?」



出たのは、本当にどうでもいいような内容。

だけど、この質問の答えは



「血飲んだ帰りだけど?」



と全く予想もしない答えだった。



勿論、あたしは止まってしまたわけで。


普通、サラッとそんなこと言う?


そりゃ、あたしは知ってるわけだけどさ。

そんなサラッて言われても困る。



反応の仕方がわかんないんだけど。