【完】愛の血−超勝手な吸血鬼


「一応って、あんたねぇ!」



失礼にもほどがある。

一応ってなによ、一応って。



「煩ぇなぁ……」

「はぁ!?」



何なの、この男は!

意味わかんない。

まじ何なの!?



「ほら、早く帰んぞ」

「勝手に帰ればいいでしょ!」



あんたなんかと一緒に帰るかバカ!



「お前……わざわざ俺が待ってやってたのに」



……へ?

待ってやってた?



「え? 待っててくれてたの?」

「あ、……いや」



目を泳がせ、まずったって顔を見せた椎名冬夜。

そのことで少し冷静になったあたしは、ようやく周りの状況に気がついた。