「一応って、あんたねぇ!」 失礼にもほどがある。 一応ってなによ、一応って。 「煩ぇなぁ……」 「はぁ!?」 何なの、この男は! 意味わかんない。 まじ何なの!? 「ほら、早く帰んぞ」 「勝手に帰ればいいでしょ!」 あんたなんかと一緒に帰るかバカ! 「お前……わざわざ俺が待ってやってたのに」 ……へ? 待ってやってた? 「え? 待っててくれてたの?」 「あ、……いや」 目を泳がせ、まずったって顔を見せた椎名冬夜。 そのことで少し冷静になったあたしは、ようやく周りの状況に気がついた。