「んぁ〜」
何回止めたかわからない目覚ましが、また鳴り響く。
いい加減起きなきゃ遅刻してしまうだろうと思い、眠い目をこすって被っていた布団から顔を出すと震える時計は、セットした時間から既に40分も経っていた。
「うっわ!」
慌てて、ベッドから飛び降り、顔を洗いに向かう途中にキッチンで食パンをトースターに突っ込む。
髪をセットしていたら
――チン♪
軽やかな音と、パンの焼けるいい香り。
小走りにキッチンへ向かって、カフェオレを入れて、パンを頬張る。
「ん、まぁ〜」
パンにのせた苺のジャムと、甘いカフェオレに思わず独り言を言った時だった。
「寂しい女〜」
突然聞こえて来た、低い声にビクッと肩をあげた。
声のする方へと視線を向けると……
「な、何であんたがココに居るのー!?」
椎名冬夜が、当たり前かのように我が家のリビングに居たんだ。