【完】愛の血−超勝手な吸血鬼



「……気持ち悪い?」



そう聞かれた言葉を、すぐには理解出来なかった。



「こんな俺を気持ち悪いって思うか?」



そう言われて、やっと気付いた。


普通なら縫わなければいけないほどの傷を数分で治せてしまう、その体を気持ち悪いと思うか。そういう意味だということに。


でもね、椎名冬夜。

そんな事が出来るのは、あたしの血だからなんでしょう?

じゃあ、それって……



「あたしの血も気持ち悪いってことになるね。
こんなこと出来ちゃうんだから」



もう一度、椎名冬夜の掌を見つめて笑うと



「やっぱ、お前って変な女」



そう笑った。

もちろん、あたしは膨れたけど。

そんなことに椎名冬夜が気にするはずもない。