「えっ? な、なんで?」 驚きを隠せないあたしは、椎名冬夜の掌をぎゅーっと引っ張りながら見直した。 「ちょ、それは、まだ痛い」 「あ、ごめ……。 え? でも傷は!?」 そう、傷は? あのナイフ実はおもちゃだったとか? いやいや、でもあたしの顔は切れたよ? それに血は? なに、これケチャップ!? 「……多分また、お前へんなこと考えてね?」 「へ?」 マヌケな声を出すあたしに、椎名冬夜はクスクス笑い。 そして少し考えた後、真面目な声を出す。