【完】愛の血−超勝手な吸血鬼



いつもみたいに、

俺に冷たい言葉を言って。

俺と目を合わさないで。

俺を避けるんだって。

そう思ってたのに……。



「あたし、そんな事してないもん!」



感情的な言葉で。

俺を真っ直ぐに見つめて。

俺から逃げずに。



「迷惑かけて悪かったって思ってるけど……
あたし、何もしてないっ!」



瞳に溜めた涙が溢れ出した。



えっ?


そのまま逃げようとする仁奈を捕まえて



「お前なに言って……って、何で泣いてんの?」



何があったんだよ。

何で泣いてんだよ。


そう思うのに



「……離してっ」



その声は苦しいって。

その声は哀しいって。

その声は、助けてって聞こえた。