いつもみたいに、
俺に冷たい言葉を言って。
俺と目を合わさないで。
俺を避けるんだって。
そう思ってたのに……。
「あたし、そんな事してないもん!」
感情的な言葉で。
俺を真っ直ぐに見つめて。
俺から逃げずに。
「迷惑かけて悪かったって思ってるけど……
あたし、何もしてないっ!」
瞳に溜めた涙が溢れ出した。
えっ?
そのまま逃げようとする仁奈を捕まえて
「お前なに言って……って、何で泣いてんの?」
何があったんだよ。
何で泣いてんだよ。
そう思うのに
「……離してっ」
その声は苦しいって。
その声は哀しいって。
その声は、助けてって聞こえた。

