【完】愛の血−超勝手な吸血鬼



意味わかんねーよ。

どうしたら、まともに話してくれるようになるわけ?


こんなに女の事を考えたことなんて今までに一度だってなかった。

だからイライラしてたんだと思う。


廊下を歩く俺に聞こえてきた、



「おい、あれ見ろよ」



その声に視線を向けると、そこには仁奈が居て。



「あ。今さっき羽田さん飛び出して来たのって……」

「もしかして男の事で揉めてたとか?」



繭?
男の事?

そう言った奴等の言葉に嫌な予感はしたけど。


それよりも、仁奈が何も言い返さず俯いていて。

その顔が、あまりにも苦しそうだったから。



「言いたいことあんなら本人に直接言えば?
目の前に居るんだから」



気づいた時には助けていた。



「別に何も言ってねーよっ」


って、子供の捨て台詞か!
って思わず突っ込みたくなるような事を言い残して行った後、ゆっくりと仁奈の方へと振り返った。


まじで何なの?

何が起きてんだよ?

……羽田繭、関係?


だから、わざわざ近付くなって言ってやったのに。