そう自分自身の気持ちに気付いた時、
「あ、あれ? 椎名君!?」
そう声をかけられた。
それは同じクラスの、仁奈の友達の女。
俺が居ることに驚いた女に、仁奈が気まずそうに答える。
あー、そういうことか。
俺と同じマンションに住んでて、隣同士だって事は友達にも言ってないってことか。
一度、自分の気持ちに気付くと嫉妬心ってのはどんどん沸くものらしく。
そんな些細な事が気になる。
だけど俺は、その事よりも隣の男が気になって仕方ない。
誰だよ、こいつ。
同じ学年……じゃないのか?
その男を横目で睨んでいた俺に、仁奈の友達が突然意味のわからないことを言い出した。
「もし変なのが来たら、仁奈助けてやってね!」
は? 変なの?
なんだ、それは。
「ちょ、京香!」
そう慌てて仁奈が言った時。
ああ、そうだ。
いつも“京香”って呼んでたな。
って、仁奈の友達の名前を思い出した。

