「な、何にもないよっ」 「はぁ? 何もないのに友達がお前を助けろって言うわけ?」 「あー……、京香はバカだから! 気にすることないよっ」 なんて苦しい言い訳。 だけど、知って欲しくない。 椎名冬夜だけには知られたくない。 何でこんな事を思うのかなんて、よくわかんないけど。 どうしても知られたくない、そう思ったんだ。 「じゃ、じゃね」 椎名冬夜から目を逸らすと、マンションの中へ逃げるように入った時だった。