椎名冬夜が転入してきてから、毎日のように話はしてた。

朝だって2日1回は頼んでもないのに迎えに来るし。
(これはお母さんが勝手に頼んでるらしいんだけど)


だけど、あの日以来。

あの血をあげた日以来、どうしても目が合わせられないんだ。


血をあげた事は後悔したけど、恐いとかそういう恐怖心みたいなものは不思議となかった。

ただ、今ではもう消えてしまったはずの2つの傷跡が何故か痛むんだよね。


あ、……血をあげた時、椎名冬夜なんかしたとか!?


そんなわけないか。

バカな事を考えながら歩いていると、気付けば家の前まで着いた。


鞄の中から鍵を探しながら、マンションに入ろうとした時、



「よお」



花壇の石段に座ってた椎名冬夜が声をかけてきた。