「A型だからとかは関係ないけど、人によって味は違う」
「そなんだー。あたしの血はどんな味なんだろ~?」
期待、してしまった。
仁奈は軽く言っただけなんだろうけど。
何も考えずに言っただけなんだろうけど。
期待した、俺がいた。
「……それは飲んで良いってこと?」
ゴクッと唾を飲み込んで確認すると、答えはわかっていた通り。
仁奈も言った後に後悔したんだろう。
さっきの明るい表情とは違い、シュンッとして俯いて首を振るだけ。
わかってた。
「そんな事だろうとは思ったけど」
わかってたけど。
落胆。
そんな言葉がピッタリの状況だ。

