【完】愛の血−超勝手な吸血鬼




だけど、コイツ忘れてる?



「お前さ、この間の俺の言ったこと聞いてた?」



え? と首を傾げる仁奈。



「俺、近付くなっつたよな?」



ああー!!!

とでも叫びたそうな顔を見て



「今思い出しましたみたいな顔してんな。
まぁ別にいいけど」



そう溜息を零した。



コイツらしいっていうか、なんていうか。


もう別にどうでもいいけど。

今、仁奈を襲えるほどの体力は残ってないし。

無理矢理襲おうとも思わねぇし。

この間みたいな感覚は沸いてこない。



ただ、そばで、その心地のいい声を聴かせてて欲しい。



こういう感覚は、なんてーのかな。