【完】愛の血−超勝手な吸血鬼



「今の俺に近づくな」



そう言って、自分から引き寄せた仁奈の体を押し返した。


まじかよ。

何してんの、俺。



今まで一度だって女の血を無理矢理飲んだことなんてない。

これはポリシーっつうか、なんていうか。



それなのに今、俺は仁奈の血を無理矢理でもいいから欲しいって思った。



仁奈が俺の“相手”だから?

本当に……それだけで?



はぁ。
とりあえず、よっぽど血が不足してるってことはわかった。



今日は、何人の血を飲めば喉の奥の渇きが満たされるんだろう……。