「……大丈夫?」
体中に鳥肌がたった。
この声は間違いなく仁奈だ。
こんな時に、こんな状況で、そばに来ることが、どれほど危険かわかってんのか?
いつもみたいに血を必要としていない時とでは状況が違い過ぎる。
何度も俺に声をかける仁奈をムシした。
早く、どっか行けって。
そう強く願って。
だけど、そんな俺の心境に気付くわけもなく
「ちょっとー?」
そう俺の顔にかけてあったタオルを、仁奈が退けようとした瞬間。
……ムリ。
そう思った。
仁奈の腕をグッと引っ張り、無理矢理……
俺は何しようとした!?
一瞬体がカッと熱くなって。
無理矢理にでも仁奈の血を……。

