そんな心の声、虚しく。 あたしの腕はアッサリと椎名冬夜に捕まれて。 遅刻しそうになって走ってきたあたしの体力は限界。 逃げれるわけなかったんだよね。 ハーハー息切れするあたしの前では、涼しそうな顔した椎名冬夜。 「何で走んの?」 「な、なんで、追いかけんの?」 「お前が走ったから」 「う……」 何も言い返せなくなってしまった。 「つか、お前なんか俺のこと避けてね?」 おもいっきりプルプルと顔を横に振る。 「いや、避けまくりだから」 少し首を傾げながら、小さく顔を横に振る。