実は、あれから椎名冬夜の目が見れないっていうか……

話す事すら無理で。

避けるようになっちゃってるしさ。


しかも、この痕も薄くなって、もうすぐ消えそうだっていうのに

チクンッ

って小さく痛むし。


あーあ。

なんで血あげちゃったかなぁ。



「仁奈ー!? そろそろ出ないと遅刻するんじゃない?」


リビングから聞こえたママの声に時計を見た。


「げっ! やっばー!」


そう叫びながら遅刻寸前の時間に、慌てて家を飛び出した。