「椎名君なら…」 「メアド聞いただけで、あんな逃げる事ないじゃんねー」 え。 「てか、あんた狙ってます、みたいな顔したからじゃん?」 「なぁっ!」 「ぶはっ、してたしてた」 「してないしっ」 ……。 「あ、で。椎名君見たんだっけ?」 盛り上がる女の子達の中から再びあたしへと質問が飛ぶ。 「あっち…」 「え?」 「あっちに行きましたけど」 「まじ? ありがとー」 あたしが指差した方向は、椎名冬夜が隠れてる下駄箱の後ろなんかじゃなく。 体育館のある別校舎だったんだ。